「今日からD組の副担任を務める青木爽悟です。
よろしくお願いします!!」

朝っぱらから新任教師の熱い挨拶なんて聞けない
と言わんばかりに屋上に逃げ込んでいた。

神谷波崇、桐山音緒、佐々木澪の3人である。

中高一貫で有名な進学校である聖美学院は色々な
業界の子息令嬢が通っており、彼らの親もかなり
有名人だったりするらしい。

3年次に上がった時点で進路も決定し、波崇達に
とって最後の高校生活は卒業に必要な出席日数を
稼ぐ為だけであった。

「退・屈・だっ!!」痺れを切らした澪が叫んだ。

少年らしい容姿から勘違いされやすい女の子だが
澪自身は好きでボーイッシュでいるらしい。

我慢が足りないんだと音緒が髪をくしゃくしゃに
すると不服そうに頬を膨らませる澪。

「…誠呼んでこいよ。話はそっからだ」
波崇の一言に澪は瞳を輝かせた。

「っしゃ!!俺呼んでくるねっ!」
それだけ言って、屋上から飛び出していく澪。

「相変わらず、能天気だな」思わず呟いた波崇の
意外な一言に音緒は吹き出した。