専業主婦の日南子は、会う度いつもあたしを誉めてくれる。


流行を追いつつも自分らしさを取り入れた服装。


一点物のアクセサリー。


凝ったネイル。


手入れの行き届いた髪の毛。


ナチュラルに見せかけつつ、一つ一つ手間のかかっているメイク。


新しく買ったバックや靴。



そりゃそうだよ。


そうやって、きちんと防御しなきゃ。



そう、これは、楽しんでやっているとか、身だしなみだとかじゃなくて……

常に戦う三十路女の戦闘服。


日南子のように、元々美人な訳じゃない。


平凡な、平均値のあたし。


そんなあたしが、独身で彼氏もいないのに努力を怠ったら目も当てられない大惨事が待っているもの。


手なんて抜けないでしょ。


……日南子とは違うんだから、何もかも。