「俺…………やっぱり無理だわ」


…………え?


あんなにざわざわしていた店内の音が、急に遠くに聴こえる。


今、なんて?


あたしは何も言葉を発していないのに、ゆう君は話を先へ先へと進めたいようで。


「結婚とか、そういうの、重い。まだ全然考えられない、受け止め切れない、ごめん」


堰を切ったように、次々と言葉が連なっていく。


沢山の言葉が、あたしの耳に届くけど、心が全く追い付かなくて。


あたしの身体が、椅子ごとぽーーんと放り出されたような気分になった。