あの、お洒落なカウンターをモデルルームで見たときは、そんな生活を夢見ていたな、と思い出す。


カウンターの上に下がった、小さなガラスの照明器具もまさかこんな雑然とした空間を演出する羽目になるとは思わなかっただろうね……。


あたしは掃除機のスイッチを再び入れた。


キッチン、リビング、和室。


廊下を進み、主寝室、子供部屋、巨大なウォークインクローゼットと化した物置部屋。


掃除機がけはあまり好きな家事じゃない。


やった、という達成感が薄いから。


窓から射し込む日差しの強さに、ハッとしてまた掃除機を止め、洗面所に駆け込む。