急いで、家に戻る途中でふと考える。


斉野君の存在を、高校時代のあたしは知らなかったけれど。


もしも、その時告白してくれていたら、一緒に過ごす未来もあったのかな。


″昔好きだった人″が目の前に現れて、斉野君は幻滅しなかったのかな。


歳を1つ偽って。


立場もろとも、偽って。


そんなオンナだったなんて、って。


でもまあ。幻滅されたとしても、それはそれ。




″○○しておけばよかった″って思うのは、みんな一緒なんだよね。





航平に用意された未来の中で、あたしと過ごすこのバージョンは、一体どこに位置するんだろう。