「へ…………?」


いたずらっ子のように笑う斉野君。


「ただ、触りたくて触りました、あの時、夜の公園で!」


「……プッ」


思わず吹き出してしまう。


「その方がいいです、笑ってる方がいいです!

もう夜の公園で泣いてちゃダメですよ、ふしだらな気持ちで髪の毛さわられちゃうから」


……んもう!


「俺も、そろそろ戻らないと」


斉野君が少し前に出る。


「色々、ありがとう」


「最初は、変わってなくてびっくりしたけど、

咲子ちゃんといる先輩、しっくりきてましたよ!

そっちの方がかわいいと思いました」


最後まで斉野くんは、優しい。


こんな、嘘つきの、子持ちの主婦に対しても。