大きな通りとの間にある道にも、咲子の姿は見当たらない。


本当にどうしよう。


そんなに長い時間じゃないし、遠くまでは行かないはず。


「咲子?さーーーきーーーーちゃーーーーん」


道行く人が不思議そうにあたしを見る。


えぇそうです、あたしは、大事な大事な1人娘をぼんやりして見失ったどうしようもない母親です。


「……青山さん?」


不意に後ろから声を掛けられる。


反射的に、

「咲子?」

と言いながら振り返る。


……そんなわけないのに。



そこに立っていたのは


「……さ、斉野君……どしたの?」


とりあえず状況が飲み込めなくて固まるあたし。


「いや、だから、俺んちほら、あそこのアパートで……」