遠くで車のクラクションが鳴り、ハッと我に返る。



……咲子?




咲子がいない。


あれ?


うそ、なんで?


バッと立ち上がり、辺りを見回す。


広い公園。


遠くの滑り台には、男の子と、お母さん。


ベンチに座るおじいさん。


ベビーカーを引いている女の人。



咲子がいない。


急に血の気がひく。


公園を出て、少しすれば大きな通りで車が沢山走っている。


この辺りは、不審者情報もちらほら出る。


とんでもない。



あまりの恐ろしさにめまいがする。