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「……そりゃ、そうだよね」
「ママ、なぁに?」
咲子の反応により、自分の思考が言葉として外に駄々漏れだった事に気付く。
「ん、あ、なんでもないよ。はい、出来上がりー」
咲子の細く柔らかい髪の毛をポニーテールに縛り、眩しいほどのピンク色のリボンがついたゴムをつける。
咲子がいてくれて、本当によかったと思う。
この子がいなかったら、あたし達夫婦は別れていたかもしれないな、と漠然と考えていた。
航平の言葉に傷ついて、家を飛び出して。
戻ったはいいけど、気まずくて。
食事はもう終わっていて。
だけど、咲子があたしの帰宅を喜び、航平におまけで食後にゼリーを貰った話を嬉しそうに している姿を見ているうちに、『家族』に戻っていた。