「青山さん、さっき泣きそうな顔してて。

美容師と客だったら、そこまでは言えないけど、友達だったら……」


……ばれてる。


「友達、だったら?」


あたしの言葉に斉野君が一呼吸置いて、


「どうした?大丈夫か?って、聞ける」


爽やかに言い放つ。


「へ……」


「折角、凄く良く似合うかわいい髪型になったのに、泣き顔は似合わない」


きゅ……と胸が苦しくなる。


″かわいい″のは髪型。


斉野君は、自分の仕事の成果に、責任を感じているだけ。


だから、あたしがきゅんとするのは、筋違い。


……だけど、凄く嬉しくて。


浮気だとか、勿論そういうのじゃなくて、何だか本当に嬉しくて。