もう駄目だ観念して……ん?て言うか、なんで名前……


そーっと、声のした方を見ると……


「あれ?えっと……」


そこに立っていたのは余りにも意外な人で。


戸惑うあたしに助け船を出すかのように、


「今日、担当した美容師の、斉野です」


分かります、分かるけど……。


「ど……して、こんなところに?」


「僕のうち、この近くなんです」


……美容室って、こんな早くに終わるもんなの?

あたしは、夜行ったことがないから分からないけど……。


あたしの気持ちを見透かしたように、


「今日は早番の日だったので、もう終わったんです。青山さんも、デート終わったんですか?」


デート??


きょとん、とするあたしに向かって、


「あ、そっか。なんか、どうしても青山さんが恋人いないって感じしなくて。すいません」