何が何だか分からなかったあたしは、珍しく航平を追いかけて、問い詰めてしまって。



……その結果。



「まだ小さい咲子を見知らぬ婆さんに預けて、自分は若いチャラチャラした美容師におだてられてデレデレして、バカじゃねーの?」


……結婚して5年、聞いたこともないような強めの言葉を浴びせられて。



視線をそらすと、


ぽかんとする咲子。


テーブルに並べられた、ご飯とお味噌汁とハンバーグとポテトサラダと煮物。


バラエティー番組から流れる笑い声。


色んなものが急に異質な感じがして。


あたしだけ、酷く場違いな気がして。


「……ごめん、買い忘れたものあった、行ってくるね、咲子をよろしく」


言い捨てて、家を飛び出してしまった。