だけど、いいんだ。


久し振りに短くした髪の毛が耳の辺りで揺れている。


そわそわと、くすぐったい。


……気づくかな?


……気づくよね。


……でもって、そしたら何か反応してくれるかな……。


斉野君から浴びた沢山の甘い言葉のお陰で、何だか全てうまくいきそうな気がしてしまう。


きちんとセットしてもらった髪の毛と、張り切ってしていったメイクのお陰で、鏡の中には昔のように……とまではいかないけど、きちんと笑っているあたしがいて。


早く見せたいな。


早く帰って来ないかな。


……そんなことを考えながら、夕食を作り始める。