そんなこんなで友達作りなんてできるはずもなく、いつの間にかパシリなポジション。
これで高校生活3年過ごすことになるなんて切なすぎる…。
私だって女子だ。
かっこいい王子様を夢見る年頃。
「はぁ…」
なんて妄想に浸ってる時点でいろいろ終わっている気がする。
疲れた時は決まって屋上。
なんとなく落ち着くから。
今日はとてもあったかい…私の心と真逆の晴天。
憎いぜ……。
「どうしたの?」
「…っ!!?」
慌てて立ち上がると、そこには王子様がいました。
さらさらしてる外ハネの栗毛。
きめ細かい白い肌。
やわらかそうな唇。
ふわりと微笑む笑顔。
「どうしたの?」
キョトンと首を傾げて再度問う。
「あなたは…なぜここに?」
「俺?んー…自主休憩…的な」
「サボりですか」
おどけたように言う彼に冷たく返す私。
せっかく話しかけてくれた人にこんな態度を取ってしまう性格が嫌い。
いつだって…いつだって。
「君も仲間じゃないの?」
「私…は…」
「ん?」
「自主休憩…ですから」
「…ぷっ、あはは!ははっ!」
突然笑ったと思ったらまた笑い出す。
落ち着いたあとも時々思い出したようにクスクス笑う彼。
そんな変な姿も様になるのだからイケメンってすごいわ。
「なんです…」
「いやー、面白いなって!あ、学年一緒でしょ?」
不意に私のネクタイを軽く引っ張る彼。
この学校は学年ごとにネクタイのラインを色分けしている。
彼も私も同じ赤色…なるほど、同年代。
「敬語無しでいいって」
へらりと笑う彼にこくりと頷き返す。
それを見てか安心したようににこりと微笑まれ、自然と私の頬も緩むから不思議なものだ…。
笑…う…?
私、今…笑っているの?
ハッとして頬をぺちぺちと叩いてみる、自分でもよくわからない謎の行動だと思うけれど正気じゃいられない。
「何してるの?」
「私…笑った…」
「へ?うん。あ、君も思い出し笑い?」
彼はイタズラを思いついた少年のようにニヤリと口角を上げていた。
でもそんな顔も私の視界から歪んで消えていく。
気がついた時には両頬から涙が伝っていた。
「え!?え、ちょ、どうしたの…?」
「っく…ふ…ぅ…ッ」
戸惑いつつも優しく背中を撫でてくれる王子様…どこまで王子様なんだ…。
私はその優しさにすがるように泣きついた。
制服が汚れるのも構わずに彼は優しく撫でてくれた。