―未遥said―

凜と龍樹くんは
すごく幸せそうに見えている。





でもあたしは、夏樹のあの顔が....
あの悲しそうな顔が浮かぶ。








結局あれから、あたしと陽はどうすることもできず、今日まで来てしまった。









去年のこの日は、どこにいるかもわからない夏樹のことを、
あたし達は三人で泣きながらお祝いした。




でも今年は、こうして笑顔で龍樹くんの誕生日をお祝いしてる。








陽は夏樹の病院に行くと言っていた。
本当はあたしも行ってあげたいけれど、
こっちを断る理由が見つからなかった。








凜はきっと、本当のことを知らない。


龍樹くんも、知らないのかもしれない。








あたしは初めて、このメンツでいる時に、早く帰りたいと思った。








凜、黙っていてごめんね。
きっといつかは、知らなきゃいけないよね。