―凜said―

夏の蒸し暑さのなか、
少し涼しい風で風鈴が揺れた。







『こら、朝姫!!一夜!!喧嘩しない!!』



物の取り合いで喧嘩をする4歳の双子。








『あさちゃんのなのに!!いっちゃんが取るんだもん!!』

『あさが貸してくれないんだもん!!』









『ほら、喧嘩しないの!またパパに怒られるよー?あ、ほら帰ってきた!』








『ただいまぁー、凜、ビール』

『ばか龍樹お参りが先!』

『あ?ぁあ....そうだな』




『ぱぱぁー!!』
龍樹の姿を見て機嫌を直す二人。




まったく、パパっ子で(笑)




『ぉ、朝姫、一夜今日はお土産あんぞ』









『やったぁ!!』
『なにー?おかしぃ?おもちゃぁ?』








『その前にお墓参りいくぞ』







車で15分。




日向家のお墓に線香と花を立てる。








『夏樹おじさん、お墓参りにきましたよぉ』


朝姫と一夜が手を合わせる。









あれから10年。

あたしと龍樹は、
朝姫と一夜という、双子を授かりました。

龍樹にそっくりで、美男美女です。









夏樹、天国でふたりの成長を見守ってやってください。








そして、毎日楽しく元気に過ごしてね。
夏樹の笑顔をまた見れる日を、
楽しみにしています。







『なぁ、凜』



『ん?』









『愛してる』


















この、広く青く澄んだ空の下、

私達は今日も、

支えてくれる、大事な人を

夏樹のことを









想っています。















『....あたしも』









〔完〕