―凜said―

遊園地で遊んだ後、
ゲームセンターに行ってプリクラ撮ったりUFOキャッチャーやったりした。





『....』
『なに?どうしたの、凜?』

夏樹があたしの顔を覗き込む。


『あ...いや(笑)』









...龍樹と夏樹プリ写り超いい!!!!
いや、元がいいのはわかってるけども!!

間に挟まってるあたしと大差ないくらい女の子じゃないか!!

女装したらナンパされるわ!!







『もたもたしてねぇで、早くいくぞ。時間ねぇんだから』



龍樹の言葉に携帯の液晶画面を見ると、
時刻は5時15分。







わ...!!本当に時間ないやっ。

夏樹が外出を許されているのは、
夜の7時まで。




あたし達は再び京香さんの車に乗り込み、
最後の目的地へと向かった。









***








人通りの少ない小さな橋についた。





『懐かしいな...』
夏樹は、目を細めて遠くを長た。







静かに流れる綺麗な川。
冬だから、草は枯れてしまっているけれど、夜空には満天の星が見える。








『凜』
龍樹の声に振り返る。





『ん?』
月明かりに照らされた龍樹の顔は、
すごく綺麗だった。








『俺たち、買い物行ってくるから。』
龍樹はそういって微笑んだ。







え....?
『ちょ、りゅ....』
『ちゃんと、話しとけよ』



龍樹は振り返らずに、京香さんの車に向かって歩き始めた。









これは、龍樹なりの気遣い。
龍樹の優しさなんだ....。








あたしは、先に河原に降りていた夏樹の隣に座る。


『あれ?龍樹は?』

『買い物だってさー』

『....そっか』









あたしと夏樹の間に流れる沈黙は、
すごく自然だった。




『ここだけは、変わってなかったんだな』
夏樹の言葉に少し驚いた。

変わって....いない?









『街の景色はほとんど変わってて、まったく別のものに見えた。』



夏樹は寂しそうに遠くを見つめる。







『けど、ここだけはあの頃と何も変わってなくて、安心した』

月明かりに照らされた夏樹の顔は、
龍樹にそっくりだった。








『うん....ここはきっと、ずっと変わらないよ』

あたしは夏樹と目を合わせて笑った。








あ....そういえば。
『ねぇ、夏樹?なんで、中学の頃龍樹の話をしたことがなかったの?』









家庭事情がいろいろあったのは知ってるけど....今思えば、夏樹から家族の話を聞いたことはなかった気がする。









『あー、うん、まぁ....』


夏樹は微妙な反応をした。



『龍樹とは、縁を切れって親父に言われてたんだ』



夏樹は、悲しそうに微笑んだ。