―夏樹said―

久しぶりに来た、生まれそだった街。
懐かしい風景も、ほんの少しだけ変わったように見える。









『ここのクレープ美味しいんだよ!!』

凜は、去年オープンしたばかりだというクレープ屋を指さした。








『前は、駄菓子屋だったのになぁ』
俺は苦笑した。
たった一年半で、見慣れていた景色も変わっていた。








クレープを買い、俺達が通っていた霞ヶ丘中学に向かう。



『なっつかしぃな!!』


霞ヶ丘の校舎は俺達の代の次の代で建て替えたらしく、綺麗だった。







『あっ、そーいえばさぁ、龍樹はどこの中学に行ってたの?』

凜が興味津々な眼差しで龍樹を見つめる。




龍樹ね....(笑)








『香雅崎(きょうがざき)』
龍樹はぶっきら棒に答えた。




『え....は....え!!き....香雅崎!?ってあの香雅崎!?』

凜は心底驚いたみたいだ。
そりゃぁそうか(笑)




『他にどこがあんだよ、アホ』
『だっ、香雅崎って....』






香雅崎中学校。
中学校だとは思えない荒れっぷりであり、
ひとつ隣の街だったにもかかわらず、
霞ヶ丘中学にまで噂は流れていた。




『え....じゃぁ胡桃も香雅崎!?』

『ぁー、あいつ元ヤンみたいなもんだろ』

『え....胡桃が....元ヤン!?』



あー、胡桃ってたしか、昔龍樹とよく一緒にいた可愛い子かぁ。







その後、近くにある小さな雑貨屋でお揃いのミサンガを買ったり、いきつけだというお洒落なレストランでスパゲティーを食べたりした。






午後は遊園地とゲームセンターだっけ(笑)



俺達は、姉貴の車に乗り込み
次の目的地へと向かった。