―龍樹said―

バン....!!



屋上で寝ようとしていた俺は、
勢いよく開いたドアの音で目が覚めた。








『りゅーき!!』
凜はドアを開けたとき以上に
大きい声を出した。





うるせぇ....なんなん....









『夏樹が!!....夏樹が、1日....病院から出られるって....』

半分泣いてる凜は俺の胸に飛び込んできた。







『やったね、龍樹!!よかったよー....』


『お前泣いてんのか笑ってんのかわからねーよ』
俺はぐちゃぐちゃになった凜の額にキスをした。








『龍樹、どこいく?』

俺と凜は、次の授業を屋上でサボることにした。


夏樹と、どこに行くかって話。








『んー、やっぱあいつの行きてぇとこじゃね....?』

俺にはこれっぽっちもわかんねぇんだけどな....!








『じゃ、夏樹に聞いてよ』
凜は転がっていた俺のスマホを、
指さして笑った。




え....俺かよ。









«トゥルルルル....ピッ....もしもし?»
電話に出た夏樹の声は、
いつもより明るかった。








«....んぁー、お前どこ行きたい?»
«....は?»




は....?


『馬鹿龍樹!!あんた頭いーくせに、日本語喋れないわけ!?』



«....1日外出られるんだろ?どっか行きたいとこねぇの?»

俺は凜を睨みつけながら、そう言った。








«そうゆうことね....んー....行きたいとこかぁー....»

夏樹はしばらく黙り込む。









«んー....お前らが住んでる街を紹介してよ»









『俺らの住んでる街って、お前昔....』

«行きたい場所は、そこなんだ»









俺は電話を切って、黙り込む凜の頭をぐしゃぐしゃにした。



『泣くんじゃねぇよ』
『泣いてねぇよ』



『この街案内してやるんだよ、一年半ぶりのあいつにな。』








俺は青く済んだ空を見上げた。
今日は12月27日。





もうすぐ今年が終わる。