―龍樹said―

『....ったくくそ弟め、いつ入るの?』

イライラする姉貴と、
再び足を運んだ病室の前で立ち尽くす俺。









まさか、凜がいるなんて想像したか?









中の2人の話を全部聞いてたなんて、
あいつらに言えるのか?









俺が病室の前に着いたと同時に
凜は中に入っていった。








....ったく。やっぱバカップルじゃねぇか。




『凜ちゃんの彼氏はお前だぞ?連れ戻さなくていいのか?』
姉貴は挑発するみたいに、俺の顔を覗き込んだ。







『夏樹にもってかれるよ?』

『....したらぶっ殺す』



凜を手放す気なんて更々ねぇ。
でも今は。





今だけは、夏樹の....
兄貴の気持ちをくんでやりたかった。









『お前も早く夏樹と仲直りしな』

『喧嘩してねぇし』









俺は鼻水をすすって、
病室のドアを勢いよく開けた。