―凜said―

夏樹から全部聞いた今、
あたしは後悔の塊だった。


涙はそれの現れみたいに、次から次へとぼとぼと溢れた。








『覚悟決めたはずだったんだわ、俺』
夏樹の涙も止まらない。


夏樹は、どれだけ苦しかっただろう。
辛かったんだろう。





あたしの辛さなんて、取るに足らないことなのに。





『けど、だめだったわ』
夏樹はあたしの顔を見て、
今日初めて笑った。



あたしの大好きだった笑顔で。





もし逆の立場だったら、
あたしは素直に夏樹の幸せを心から願うことができたかな?










『....ッ....ネックレス....』

あたしは夏樹の首元で光る、
金色の十字架のネックレスを見つけてしまった。








まさか....ずっとつけてた?
あの日から....?









『俺、だらしない男だったから....未練たらたら』
夏樹は笑い飛ばした。

たがら思わずあたしも笑った。








『凜、来てくれてありがとう』
夏樹は真っ赤に腫れた目で、
また笑った。









『うん!』
あたしもたぶん、
夏樹に負けないくらい腫れてる。