―凜said―

『....凜?』


夏樹....
なつ....き?








ベッドに腰を掛けている夏樹は
たくさんのチューブに繋がれていて、
肌は青白く、一段と痩せて見えた。








なに....
これ?
どういうこと....?
夏樹....?





『夏樹....どうし....たの?』





どうしたのなんて、聞くのはバカだってことくらいわかってる。









『いつ....から?』








夏樹は俯いていて、あたしとは目を合わせてくれない。








京香さんは部屋に入らないままどこかへ行ってしまった。









『夏樹!?ねぇ、いつからなの!?どうしたの!?どこが悪いの!?』

口から溢れる言葉も、頭の中に浮かぶ疑問も、止まることを知らなかった。









『ねぇ!!なつー....』
『....んで....』


そんなあたしを遮ったのは、
夏樹の声....そして









『....なんで来ちゃったんだよ....?』




綺麗な目から溢れた涙。









『なんで....馬鹿!凜の馬鹿!くっ....ッ....』








夏樹....どうしてそんなに泣いているの?
何がそんなに悲しいの....?









『....凜!?』



気づいたらあたしは、
夏樹を壊れるくらい強く抱き締めていた。








『夏樹....泣かないで。夏樹が泣くと、あたしも泣きたくなるから....せっかく....会えたのに....』



もう一度、会える日があったとしたら
絶対笑顔で会おうと心に決めていたのに。



あたしの覚悟なんて、こんなものだ。

夏樹を前にすれば、こんなものだ。









『凜、顔をあげて』




優しい声に顔を上げると、
夏樹の綺麗な顔は涙でぐしゃぐしゃだった。








『ごめんね、凜』








夏樹は静かに口を開いた。