―龍樹said―

昨日はたくさんの奴らに誕生日を祝ってもらった。
プレゼントもたくさんもった。


今までで一番楽しい誕生日だった気さえする。




«お掛けになった電話番号は、只今電源が入っていないか電波の....»




『チッ』



何回掛けても、同じ機会の声しかしない
夏樹の電話番号。



『ったく....ふざけやがって。』
あれから一度も電話にでないバカ兄貴は、
あからさまに俺のことを避けてるんだと思った。




別に、凜になんて言わねぇし。
ただ....



『元カレに捨てられた』
ってゆう、胡桃の言葉は気になった。



夏樹がそんな事するわけねぇ。
でも、あの時の凜の顔はマジだった。









次の日俺は、夏樹の家を尋ねることにした。
前、一度だけ姉貴と行ったことのあるマンション。





....にしても、電車で二時間とかまじだりぃ。

さっきから目が合う女全員、
メアド教えろとかこのあと暇?とか、
超めんどくせぇ。



まぁ、昔の俺ならメアドくらいなら教えてたかもしんねぇけど。

今は更々興味ねぇ。







やっと着いた夏樹の住む街は、
俺らが住んでる街より大きくて、
都会っぽかった。





えーと....

俺は曖昧な記憶をたどって夏樹と親父の住むマンションを探した。

確か駅から近かったよな....






やっとたどり着いたマンションの表札に、
『日向』って書いてあったのを見た時は、
まじでホッとした。







確か....2階か。



俺は勢いよく階段を駆け登った。


『....?』
日向、と書かれた表札の部屋の扉は
新聞やら広告やらでぎゅうぎゅうだった。




『親父いねぇのか』
親父は仕事が忙しくて単身赴任中。
でも、夏樹もとらねぇのか....?





『あら、なつくんのお友達?』
ふいに聞こえた声に振り返ると、
80歳くらいのばぁさんがニコニコしながら俺を見た。





『....弟。ばぁさん夏樹と知り合い?』

『弟さんかい。どうりでそっくりなわけだぁ....ぁあ、いつも色々助けてもらったよぉ』
ばぁさんは懐かしそうに話す。



『でも、引越しちまったんだよなぁ。2日前に』





2日前に....引越した!?

『夏樹がか!?』



『そーじゃよぅ。お父さんは残ったみたいだけど....』





は....?
知らねぇんだけど、俺。




じゃぁ、ここには夏樹はいねぇのか....!?
なんなんだよ....







俺はマンションを出て、夏樹の通う学校に向かった。