「……少し、冷静になります」

「くすみく…」

「来ないで下さい」

「っ!」

「それに、バンドもそろそろ始まるんで行きます」

「……わかった」


私がそう言うと、久住君は扉まで向かい鍵を開けて廊下へと出て行く。



残された私は、椅子に深く座るとその体を預ける。

それから、両手で顔を覆った。


まだ、胸がドキドキしてる。


好きだ、って言いたかった。


私も好きだよって。



言えたらどんなに楽なんだろう。
本当にそう思った。


簡単じゃないってわかってる。


ちゃんと、全てを一から話さないといけないな。


私と久住君は教師と生徒の関係だから、気を付けないといけない事がたくさんあるって事。
それに、私が好きだって事も。


久住君は私の気持ちが見えないから。
だから、どうしたらいいのかわからないんだ。


それを頭ではわかってるのに、うまく言葉として出てくれない。