その、唇が触れてしまいそうな距離で私はぐいっと胸元を押す。
少しだけ出来た距離。
ぎゅうっと、久住君の制服を掴む。
皺が出来たそれを見つめながら、口を開いた。
「……ダメ」
「……」
「私と久住君は教師と生徒だから」
「……それは…俺じゃ、ダメって事ですか」
「違う!」
鼻先が当たりそうな、その距離で私は彼をしっかりと見つめる。
そして、再度言った。
「違う」
それに、久住君の顔が歪んで行く。
眉間に皺が寄って、いつもは可愛いその顔が険しくなる。
「……わかんない、です…」
「久住君」
「俺は、好きなんです!先生が好きなんですよ!
いつだって先生の事ばっか考えてて、全てが欲しいんです!」
「……」
「……」
嬉しいのに。
その言葉は、本当に嬉しいのに。
うまく伝えられない。
それが、悔しい。