「安西ちゃん。私、ちょっとトイレー」

「あ、はい、わかりました」

「私はそこから適当に回るよー」

「ええ?」

「だから、久住君。エスコートよろしく」

「いや、辻先生!?」



辻先生はニヤニヤと手を振るだけで、止まる事はない。
残された私と久住君。


「……えっと」

「折角だし、どこか行きますか?」



どうしようか、戸惑っていると、久住君がそう提案して来る。
いや、マズイでしょうが。

生徒と二人で歩いてるなんて。



「久住君、バンドいつだっけ」

「後、一時間したらですね」

「ちょっと、それまで話さない?」

「?いいですよ」



そう言うと、職員室に寄ってから私は誰も使っていないだろう教室へと向かう。
生徒指導室だ。


鍵がかかってるからね。ふふん。
職員室にはその鍵を取りに行ったんだ。


中に入ると、私は鍵を閉める。
よし。
これで、とりあえずは大丈夫だ。


……あれ。
ちょっと待って。


何が大丈夫だ?
今、密室じゃないか?


これって、もしかしてもしかすると、物凄くヤバイんじゃないか?