文化祭当日とだけあって、職員室はガランとしていた。


その中に、辻先生一人。
優雅にコーヒーをすすっている。



「……辻先生」

「あら。安西ちゃん」


いや、あら。じゃないですから。
生徒が頑張ってるのに、優雅にコーヒーって。

貴方のクラスお化け屋敷でしょう、先生。


いや、お化け役は生徒だろうし、いる必要はないのかもしれないけども。
実際、私も監督役ってだけでいる必要はないし。



「安西ちゃん、見たよー。あのメイド服、凄い可愛いね」

「あ、可愛いですよね」

「手作りだって本当?」

「ええ、皆頑張ってましたよ」

「凄過ぎる。凝ってるよね」

「いや、辻先生のクラスのお化け屋敷も中々…」

「私は一切怖くないけどね」

「……辻先生、絶対おかしいです」


呪怨をテーマにしたそのお化け屋敷は、外装からして私は怖い。
だから、絶対に入りたくない。
外から見るだけで、満足。お腹一杯なのだ。