「安西ちゃん。よかったね」


話が終わってから、教室に向かう途中に辻先生がそう話しかけて来る。
それに思いっきりしかめっ面をする私。


「どこがですか」


口を尖らせながらそう言うと、辻先生はまたもや楽しそうだ。
もう、他人事だと思って。


「だって、結構イケメンじゃない?」

「そうですかあ?」


うーん、イケメンかなあ。
私にはわからない。


「え。イケメンでしょ。それが安西ちゃんに近寄ってるのよ?
恋の予感とかは思わないわけ?」

「いえ、全く」


辻先生、全くですよ。
恋の予感の「こ」の字も感じませんよ。


今は恋愛なんてしてる暇ないって思ってるし。
三年経ったけど、やっぱりまだまだ私は甘いなってのを毎日の中でひしひしと感じるし。


だから、彼氏とかノーセンキューなのです。