「ここの先生だったんですね。安西先生。
わからない事あったら聞いてもいいですか?」
「あ、ええ。どうぞ」
あんなニコニコ笑顔を作られたら、断れない。
それに他の先生も見てるし。
無碍な態度は取れないでしょ、これ。
「安西ちゃん、知り合い?」
「ちょ、ちょっと……」
まさか、お隣さんだなんて言えない。
「ええ、今朝偶然会ったものですから。
顔を知ってるぐらいですよ」
「そうだったんですか!じゃあ、安西先生に色々教えて貰った方がいいでしょう!
山本先生は他でも経験あるので、碁盤は出来てるし。
安西先生よろしくお願いしますね!」
教頭も、気を遣ったつもりなんだろうか。
それ、全く気を遣ってませんから。
寧ろ、大迷惑ですから。
ベテラン先生つけるのが普通でしょう。
隣でニヤニヤしてる辻先生なんて、適任でしょう。
と、思うけども。
教頭先生の言葉には何も言い返せず、「よろしくお願いします、山本先生」と引き攣らせながら微笑むしかなかった。