「怜。」

 「なに?」

 「腹へった。」

 「………………………」







 多分コイツがみんなの前でもこんな態度なら、
 余計にファンが増えちゃう気がする…



 なんて言うのかな。
 アメとムチ?



 普段あんま喋らないし、喋ったかと思うと
 俺様発言だし。



 でもたまに見せるこの笑顔だけで
 「もう何でもいいや」って気になっちゃう。



 本人無意識なだけにたち悪いんだけどね…




 これがあたしの王子様なんだ。




 絶対誰にも渡さないもん…





 「雄飛。」

 「ん?」




 「どこにも行かないでね…」




 あたしは涙混じりに言った。





 「何で今日そんな可愛い事ばっか言うかな…」





 ちょっと困った顔をする雄飛。






 「好きなの…大好きなの…。
  誰にも渡したくないよ…」


 「ホント…お前って…」


 雄飛困ってる?



 イキナリこんな事言って困ってるかな?





 「俺にどんだけお前の事好きにさせたら
  気ぃすむんだよ…。」


 「意味分かんない…」






 「これ以上ないぐらい怜が好きって事。」






 あぁ…あたし、幸せ者だ。
 こんなに素敵な人にこんなに愛されて。




 この人の側でこんな事を言ってもらえるだけで
 贅沢な事なんだ。