あれから、"みんなの王子"は
 "あたしだけの王子"になりました。








 「見てみて♪また雄飛君来てるよ!」


 「毎日見れるなんてまぢ幸せだね-!!」


 「最近雰囲気柔らかくなったしね♪」


 「今度喋りかけてみよっか★」


 「い~ねぇ♪」




 「………………(怒)」





 どうやら王子は、やっぱり
 "みんなの王子"のままだったようだ。





 「れぇ~いチャン♪なに不貞腐れてんのかな?」


 「……別に。」


 「最近篠崎人気が上がってるからでしょ~♪」


 「ちっ!!違うし!!」


 「(分かりやすっ!!)」





 確かに、確かにね。
 雄飛はカッコイイわよ。
 みんながキャーキャー言うのも分かるわよ。
 でもさ…なんて言うの…?




 ちょっとは遠慮しろっつ-の!!!!!!



 あたし彼女だよ!?
 彼女の前でそう言う話する!?
 気分悪いんだけど!!




 「まぁまぁ怜チャン。
  気持ちは分かるけどさ♪仕方ないよ。
  だって"あの"篠崎雄飛だもん。」


 「ただの一般人じゃんか。」


 「篠崎はそこらの有名人より知名度あるよ。
  頭もいい、運動もできる。喧嘩も強い。
  おまけに顔があれだ。
  みんなが騒ぐのも無理ないっしょ。」


 「う"ぅ"―。分かってるけど…」


 「それを彼氏に持ったら我慢も必要なわけだ。」