もうすぐ家が見えてくる。


そろそろ


『姉弟』に、戻らなくちゃいけない。



あっちゃんは、握る手を少しだけ強くした。



あっちゃんも離れたくないと思ってくれてるの?



ねぇ、この手を離したくないよ。


離したら、今日の出来事が夢だったようで


手だけじゃなく、心の距離までもが離れてしまいそうで怖いんだ。



「芽依」


あっちゃんの声に、自分の手が震えていたことにやっと気づく。


あっちゃんは、それに気付いていたのか、とても悲しそうな瞳で私を見つめた。



「怖い?親にバレるの。」


それは、私をバカにしたものでも、けなしたものでもなくて。


とてもとても、優しい瞳で、優しい声で。



「強くなるから。お前を守れるように、強くなるから……」


とてもとても、儚くて……




「篤志くん!!」


その時聞こえた声に、パッと二人の手が離れる。



恐る恐る振り向いたそこには、綺麗な顔をグチャグチャに歪めた、岡田さんがいたんだ……




*