手を繋いで、ゆっくり歩く。


家の中では、親の前ではちゃんと『姉弟』を演じなければならないから。



少しでも長く、『恋人』でいたくて。



「痛くない?」


少し俯いていた私に、あっちゃんは心配そうに尋ねる。


さっきから、時折感じていたあっちゃんの視線。


その視線には、『心配』の色が隠されていたんだ。


いつも意地悪なあっちゃんがそんな風に優しくしてくれるだけで、笑顔になる


幸せになる



私はこの人が大好きなんだな、って思う瞬間。



「へへ、痛くないよ」


あっちゃんがゆっくり歩いてくれてるおかげで、痛みはあまり感じない。



「何、その笑い方」


苦笑いするあっちゃんに満面の笑みを見せる。



「幸せな笑い方!」


「変な笑い方」


今度はあっちゃん特有のドSな微笑み。


きっと、何か企んでる……



「芽依は幸せな時、いろんな声出すんだなぁ……へへとか、俺を誘うような色っぽい声とか……」


あっちゃんがそう言った瞬間、さっきまでの行為を思い出す。


そして、ボンッ!と火が出るくらい熱くなる顔。



「あ、あっちゃんたらっ!」


「ヤバかったなぁ、真っ赤になった顔とか、腰に来る色っぽい声……」


「も、もう!!」


は、恥ずかしすぎる……っ



*