岡田さんといるのは、別にデートとか、そういうのではない。
「おぉ、やっと来た!!」
キャプテンの声に、みんなが振り向く。
実は、
学校の近くのファミレスでバスケ部の集まりがあったんだ。
キャプテンがすごくイベント好きな人で、部活がオフの日は絶対にこういう会を開く。
自由参加なんだけど、俺は尊敬する先輩と唯一じっくり話せる機会だから絶対参加する。
今日は岡田さんに『一緒に行こう』って誘われて、たまたま一緒に来ただけ。
「ここいいっすか?」
「あぁ、いいよ。」
尊敬する先輩・副キャプテンの村谷透哉輩の隣に座る。
村谷先輩の前にはキャプテン、俺の前には岡田さんが座った。
俺はたまたま村谷先輩と同じポジションで、村谷先輩が怪我をしたからレギュラーになった。
まだまだ村谷先輩には適わない。
なのに、そんな俺に村谷先輩は言った。
『お前は昔の俺に似てる。お前なら越えられるよ、今の俺を』
怪我をして悔しいはずなのに
俺を励ますようなことを言って
すごいと思った。
絶対に、適わないと思った。
*