「芽依、今日も一緒に勉強しよう?明日も明後日もしあさっても…」


「だから!亮太郎くんに教えてもらうって言ってるじゃない!」



なぁ、だから。


なんで泣くんだよ。


これ以上期待させんなって……



「あっちゃんは岡田さんと一緒にいればいい……っ、」



まさか


自分がこんなに我慢のない男だったなんて。



玄関の扉のすぐ向こうには母親がいて


近所の誰に見られているかわからないのに。



必死だった。


もう一生味わうことができないかもしれない芽依の唇に


キスすることに。



このまま


芽依と唇をくっつけたまま消えてしまいたいと思った。


それか


このまま芽依を連れ去る。



そうしたらずっと一緒にいられるのに。


芽依を好きになった時から、すべてを捨てる覚悟はあったから。


………たとえ、許されなくても。


芽依が受け入れてくれるなら、この想いを守り通そうと思った。



「っ、あっちゃ……!」


甘い唇も、漏れる吐息もすべてが愛しくて。


溺れて、しまいそうになる……



その時。



「あっちゃん?いるの?」



家の中から、母親の声が聞こえた。


その声にビクッと反応する芽依。


そして勢いよく俺を突き飛ばした。


俺はその衝撃に思わずよろめく。


「っ、芽依……」


「あっちゃんなんて嫌い……大嫌い!!」




あぁ、俺は


なんてことをしてしまったんだろう。



俺を好きでもない『姉』の芽依に


無理矢理、触れてしまうなんて……




*