芽依は俺の横をすり抜けて玄関に手をかける。
その手を掴んで………、俺は芽依を無理矢理コチラに向かせた。
「あのさ、芽依。岡田さんは…」
「ちゃんと!送ってあげた?」
なぁ、だからさ。
なんで目合わせないわけ?
なんでちょっと涙目なわけ?
杉浦となんかあった?
杉浦になんかされた?
泣くほど、悲しいことを…
「女の子だからちゃんと送ってあげなきゃね。岡田さん可愛いし、私との勉強会より大事……」
「芽依」
ギュッと手に力を入れると、芽依はやっと口を閉じる。
確かに岡田さんを一人で帰らせるのは危ないけどさ
俺にとっては芽依との勉強会のほうが何倍も大事
芽依の涙の理由のほうが何倍も気になる
芽依が泣いてるのは、杉浦と何かがあったから?
それとも………
俺と岡田さんが一緒にいたから?
自分に都合よく考えてしまう頭に少し苦笑いした。
なぁ、もしそうなら
芽依が心配することは何もない。
だって俺には、芽依しかいないから。
なぁ、だから芽依。
こっち向いてよ……
*