しばらくそのままでいて


私は杉浦くんの胸に顔を押しつけてワンワン泣いた。



杉浦くんは私の頭を撫でながら、時々「俺がいるから。大丈夫だよ」って言ってくれた。



こんな道端で、さっきから何人か通ってる。


冷静になってみれば恥ずかしい……



そう思った私は、顔を杉浦くんの胸から離して杉浦くんを見た。



「もう大丈夫?」


「……うん、ごめんね?」


「全然」



そう微笑んでくれた杉浦くんは、さすが朝陽と並ぶくらいモテるだけあって、すごくカッコよかった。



「『あっちゃん』…なかなかカッコいいね」


ムカつくけど。そう付け加えた杉浦くんに笑みが零れる。


「あっちゃん優しいよ?」


「だって俺を敵視すんだもん。こんないい男なのに」


「フフ。杉浦くんもすごい目で睨んでたじゃない」


「……お互い様か」



杉浦くんは苦笑して、そんな杉浦くんを見て私も笑う。


こんな風に笑えてるのは杉浦くんのおかげだね。ありがとう。



「それで、さ」


「ん?」


杉浦くんが立ち止まる。


その顔は、とても深刻そうで。


思わず顔が強ばった。



「『あっちゃん』。一緒に住んでるの?……『あっちゃん』は、何者なわけ?」


心臓が一瞬、止まった気がした。



*