「平岡さん?大丈夫?」
下を向いて泣きそうになっている私に杉浦くんが尋ねる。
大丈夫だよ。
『片想い』なんて、わかりきってたことじゃない。
「……芽依」
優しいあっちゃんの声。
でも今は、痛いだけだよ……
「なるべく早く帰るから。だから帰ったらまた一緒に勉強……」
「大丈夫だよ?」
「え………?」
いつのまにか目の前にいたあっちゃんに満面の笑みを向ける。
「ゆっくり岡田さん送ってあげなよ!私、数学できるようになったよ?だからあっちゃんに教えてもらわなくてもいいの。勉強会はもう終わり!」
「芽依、でもお前数学以外は…」
「杉浦くんに教えてもらうから!」
そう言うと、あっちゃんは一瞬眉を下げた。
「今日も図書館で勉強しててね。杉浦くんと一緒に帰ろうと思って待ってたの。」
こんなにベラベラと嘘が出てくる自分に呆れ果てる。
嘘だよ、あっちゃん。
本当は、あっちゃんと帰りたいんだよ。
でもね……、仲のいい二人を近くで見てるなんてこと、弱い私にはできないんだ。
「じゃーね、あっちゃん!また家でっ」
私はあっちゃんに背を向けて、歩き出した。
あっちゃんが私に伸ばしかけた手に気付かないで……
*