「なんだよ、芽依。殴んな」


「タバコなんて吸ってたらお父さんに怒られるよ」


「もう成人してるから、俺の自由ですー」


そう言いながらも、私の前では絶対タバコは吸わない。


相変わらず優しいよね、あっちゃんは。


私タバコ、嫌いだもんね。



「ねぇ、あっちゃん?」


「ん?」


あっちゃんの隣に座って、横顔を見上げる。


もう、なんでこんなにカッコイいかなぁっ


「亜由美ちゃんがね、彼氏に指輪もらったって、指輪してたんだよっ」


「ふーん。で?」


で?って……


私も欲しいなぁ、なんて思うけど、言うの恥ずかしいしなぁ……


だけど欲しい!


そう思ってあっちゃんのほうを向くと、あっちゃんは意地悪な顔で私を見ていた。



「芽依も、欲しいの?」


「………っ」


恥ずかしくて俯くと、あっちゃんは私の頭をポンってしてフッと笑った。



「そうだなぁ、そろそろ買うかぁ。指輪」


「…えっ…」


「ペアリングでもいい?」


あっちゃんがあまりにも優しい笑顔で言うから、泣きそうになる。


あっちゃんはいつもそう。


恥ずかしいことを私に言わせようとするけど、結局私の考えてることは何でもわかってるから


私が言う前に、恥ずかしすぎてパンクする前に言ってほしいことを言ってくれる。


そんな、意地悪だけど優しい人……



*