「俺のことなんて待ってなくていい。だから、早く帰って母さんの手伝いでもしろ、バカ娘」


あっちゃんはコンッて私のおでこをつつくと、意地悪に笑った。



「バ、バカって言った……!!」


私はと言えば、赤い顔を見られないことに必死。



だってあっちゃん、なんかいつもと違う…


すっごく、雰囲気が甘いんだもん。



「バカにバカって言って何が悪い。」


「だから、バカバカ言わないでッ!!」


「はいはい。じゃぁな、バカ芽依」


「もうッ!!」



あっちゃんはハハハって笑って、教室に入っていった。



後ろ姿もカッコいい……



て、何考えてんの!!




今日のあっちゃんはほんとにいつもと違った。


今でもまだ心臓はドキドキするし、顔は熱い。


こんなにドキドキしてるのはきっと私だけなんだろうな……



そう思うとなんだか悔しいけど、
今日のあっちゃんは優しかったら許そう。



私は鼻歌でも歌いそうな勢いで教室に向かった。



そんな私を、岡田さんが見ていることにも気付かずに……





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