「好き、だったの……」


岡田さんは涙をこらえて話し出した。


「本当に本当に好きだった。まっすぐな、篤志くんが……」


バスケに真剣に取り組む姿。


芽依を……まっすぐに、愛しそうに見つめる姿。


彼女は俺の、そんなところが好きだったと言った。


「私もそんな瞳で、見つめてほしかった…」


彼女はそう言って、儚く笑った。


「……岡田さんは、キレイだよ」


これは、嘘なんかじゃない。


ちゃんとした、本心だから。



「できんじゃない?そのうち。岡田さんだけを、見つめてくれる大事な人。」


俺はそう言って、席を立った。


俺にはもう、いたから。


守りたい

そばにいたい

俺の手で、笑顔にしてやりたい


そう思える人が。


……もう、『好きだ』と伝えられないけれど。




*