「別に?」


岡田さんはアイスコーヒーをストローでかき混ぜながら笑った。


「ちょっと親友の恋を潰してやっただけ」


芽依の親友ということは、加瀬さん、か……


「芽依は……」


「あの娘、泣かなかったわ。悔しいからもっとなにか……」


「付き合いましょうか」


「……え?」


「俺たち」


岡田さんは俺の言葉に、目を丸くさせている。


「……あの娘を守るため?」


パッと表情を変えたかと思うと、彼女はそう言った。


「そうです」


俺はハッキリ言った。


彼女の顔が歪む。


「もうこんなの、やめましょうよ」


俺はため息をついた。


岡田さんはストローを離して、膝の上で拳を作ってギュッと握りしめていた。


「誰も幸せになれないでしょう。俺も、芽依も……岡田さんも。」


その言葉に、岡田さんの体がビクッと震えた。


もう、気づいてるはず。


この人だって。



「いくら岡田さんが苦しめようとしても、負けないと思いますよ。芽依は」


加瀬さんだって彼氏だって、中途半端な気持ちで付き合ってるわけじゃないだろうし。


芽依だって……


中途半端な覚悟で俺に別れを言ったんじゃないはず。



*