岡田さんは、座り込む私を見て、ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべていたのに


急に顔が険しくなり、すぐに悲しそうな顔になった。



『篤志くんの涙に触れられるのは、あなただけ……



いつもの自信を持った態度の岡田さんからは想像もできないくらい、弱弱しく、泣きそうな顔。


『篤志くんの心に触れられるのも……』






「芽依……」


パッと、目が覚める。


夢だったんだ。


その証拠に、今は朝日が差し込み、少し眩しいくらいだ。



横を見ると、あっちゃんの綺麗な寝顔。


その頬には、冷たい涙の跡。



「あっちゃ……」


あっちゃんが泣いている原因が、岡田さんの言うように『私』ならば。



ギュッと抱き締めると、あっちゃんは私を抱き締め返してくれた。



未来はわからない。


今の私には、あっちゃんの涙を拭いて、


精一杯の愛を込めて、抱き締めてあげることしかできないんだ。




*