声のした方を見ると、やっぱり予想した通りの人がいて。


岡田さんは不敵に笑っていた。



『あなたが、篤志くんから離れたの。』


『どういう、こと……?』


『所詮、その程度の気持ちだったの。あなたなんかに篤志くんは渡せないわ。』


『どういうこと……?!』



私があっちゃんから離れる……?


何を言ってるの?



『その雨……冷たいでしょう?』


岡田さんは私に降り注ぐ雨に触れようとする。


……だけど。


雨は岡田さんを避けるように私だけに向かって降り続ける。



私以外、この雨には触れられないみたいだ。



『この雨はね……篤志くんが流す、心の涙よ』



え……?


あっちゃんの、心の涙……?



『篤志くんはあなたのことが原因で泣いているの。その意味がわかるかしら?』


わかってる。


あっちゃんは優しい人だから


義姉弟で愛し合う罪を


両親への罪悪感を



私の分まで、すべて受け止めようとしている。



それだけじゃない。


私の、弱さですら……


あっちゃんは受け入れようとしているんだ……




*