買ったばかりのリップクリームはあの時貰ったリップクリームの色違いだった。
大切に持っていたリップクリーム。
でも、あの日失くしたリップクリームは…。
「南」
「……」
「おい、南」
「……」
「畑、南の頭叩け」
「え、俺?」
「前の奴の腑抜けを直すのが後ろの奴の役目だ」
「どんな理由だよ…ほら南、目を覚ませ」
バシッ
「あ痛っ!畑!」
「前見ろ、前」
後ろの畑が指差す前を向くと先生のギラギラした目と目が合う。
「…先生、何」
「南、お前授業終わったら職員室来い」
「えーっ!なんで!?」
なんでいきなりそんなことに!?
あたしが驚いているとみんなの同情した目が気まずい。
「事情は畑に聞け。授業戻るぞー」
「なにそれ…」
後ろの畑に頭をポンっと叩かれて慰められるのが何とも辛かった。