「じゃあ、この前の続きなー」



先生が授業を始めた途端、さっきまで騒がしかった教室が静かになる。




教室を見渡せば



ちゃんと先生の話を聞く者。


黒板の内容をノートに写している者。


机の下でスマホをつついている者。


教科書で隠して寝ている者。


堂々と寝ている者。


教科書とノートを開いていても何もしていない者。



色んな人がたくさんいる。



私はというとさっき買ったばかりのリップクリームを見つめる。


口紅タイプになっている色付きリップ。


リップクリームから視線を窓ガラスに反射する自分に変えると、化粧気のない自分が映った。


『化粧なんて今しなくてもいいよ。

凜は凜だろ?焦るなよ。

ほら、凜はこれで充分だから』


『これ……』


『色付きリップクリーム。ほら、塗ってやるからおいで』




希和に化粧習おうかな…。

化粧したら少しは大人っぽくなるかな…?