「この馬鹿っ」


「えへへ、失敗、失敗」


「なにが失敗だ、馬鹿!

袋振り回しながら帰るから電柱なんかに当てるんだよ!

お前のバカな行動で俺のピザまんが〜」


「口に入れたら何も変わんないよ、ほら、温かい内に食べな?」


「うるさい!馬鹿南!早く渡せ!」



電柱に当たったせいでリップクリームの箱が食い込んでしまったピザまんを長谷部に渡す。


「やっぱり…形が可笑しい」


長谷部の上がり眉が珍しく下がる。


「……味は変わんないよ、じゃあ」


「おいこらっ!」


しつこい長谷部から逃げようとしたら肩を掴まれた。


「ほら、一応買って来てくれたお礼」


長谷部がポケットから出したのはチロルチョコ。



「あー!あたしが1番好きな味だ!」


「なぁ、俺優しすぎだろ?」


「ちょっとね?長谷部、ありがとう!」


少しドヤ顔が腹立ったけど見逃してやろう。


「ちょっとって何だよ、さっさ教室戻れ」


「はいはーい」



チロルチョコを握り締めてスキップで教室に帰る。