「南帰らないの?隣のクラス待ち?」



廊下で隣のクラスが終わるのを待っていると希和が隣に立つ。


「うん、ちょっと長谷部待ち」


「……そっか。じゃあ、あたしは帰ろうかな」


「ごめん、また明日」


「ばいばい」


希和の背中を見つめながら2ヶ月前のあの頃を思い出す。


『南、先輩待ち?』


『うんっ!迎えに来てくれるっていうから教室で待ってるの!』


『本当幸せそうね〜。あたしはさっさと1人で帰ろうかな』


『ごめんね、また明日!』


『はいはい、また明日〜』



笑顔で見送ってた希和の背中。

今じゃ、一緒に帰るから希和の背中を見送る日はあまりない。


「今日は彼氏と会うのかな…」



念入りにiPhoneケースに着いている鏡で化粧チェックしてた辺り、これから会うんだろうな。


「いいな…」



素直に羨ましかった。


飛んでいた意識が隣の教室から机を引く音が聞こえて我に返った。



「終わったかな…」




予想は的中してゾロゾロと教室から出てくる。


「長谷部出てこないな…」



会いたい長谷部が中々出てこないから隣のクラスのドアから少し顔を出す。

あ、いた。


「長谷部っ」



長谷部は机に座ってスマホをつついていた。