「あたしセンター絶対ボロクソだー!」


「あー!時間が足りねー!」


「過去に戻りたい!!」


「進学組は大変だね〜」


「お前は就職決まってるからいいだろ!
俺なんてまだ決まってないんだぞ!」







「……気まずい」


1、2階ではないこのどんよりとした空気が漂う3階。


さすが1月の中旬。

来週行われるセンター試験に苦しんでる先輩がたくさんいる。



あたしも来年になったらこんな死んだ顔になってるのかな…。


「わっ、チャイムもうちょっとで鳴っちゃう!……早く置いて帰ろ!」



早足で3年2組に行くと、ドアの目の前で足が止まる。


このドアを開けると、あの人がいる。



『南、ごめん。受験に集中したいから別れよう』


大好きだった、あの人が…。



「巧、次の英語俺当たるから宿題写させてー」


教室の中から聞こえた“巧”という名前で体が固まる。


「お前は就職組だからって3年なんだからそれくらい自分でしろよ」


「えー、教えてくれよー、なぁー頼むって!」


「うぜぇ」


「ひどい!」



休憩時間だからなのか、他の教室とは違って3年2組の教室からは笑い声が溢れている。