「あ…唇がカサカサだ」



冬という季節のせいもあってか唇に触れると乾燥していて潤いがない。



「リップクリームくらい付けたら?」


「…失くしたんだよね」


「南、それ女捨ててるよ。早く新しいの買いな」


呆れた希和の視線が痛い…。


「失礼な……ちゃんとリップクリーム買って女拾ってくるよ」


「まだ昼休みが終わるには時間あるし、抜け出して買いに行ってきなよ」


「え〜、今すぐ?」


「今すぐ!」


「…はーい」


まるでウチの母親だな…。

背後から睨みを利かす希和のオーラーを感じつつ、お財布片手にゆっくりと教室を出る。